石井記念愛染園附属愛染橋病院

ビル外観図

隣人愛の医療を地域に根ざして実践
伝統ある総合病院がリニューアルオープン

人情味豊かな庶民の町、大阪市浪速区。この地で長年にわたり地域医療の拠点として厚い信頼を集めてきた愛染橋病院が、昨年8月に新築・移転の運びとなりました。

愛染橋病院の歴史は古く、明治42年に社会福祉事業家の石井十次氏が、生活困窮者の救済を目的として、生活相談所や孤児の養育施設を開いたことが始まりです。その後、石井十次氏の急逝を受け、後援者であり親交の深かった倉敷紡績社長の大原孫三郎氏が事業を継承。貧困をもたらす病苦を解決するために設立されたのが愛染橋病院です。

昭和12年当初、内科、産婦人科、小児科を扱う、28床からスタートした病院は、結核患者や、妊産婦と乳児の死亡率低下に精力的に取り組み、昭和40年には263床を有する総合病院へと発展をとげました。

特に産婦人科は出生率の高かった昭和40年代当時、年間3,000件以上もの分娩数を記録し、大阪で「お産の病院」と呼ばれるほどの実績が残っています。しかしながら、建物・設備は老朽化し、廊下の幅や病室の広さなどを現法規に準じるためにも建て替えが急がれていました。幸い、市当局との折衝が実を結び、旧愛染橋病院の土地と近隣の市営地を等価交換することが決定し、移転の上、地下1階・地上10階の新病院が建設されたのです。

デザイン・設備ともに近代化された新病院では、1階から3階までが産婦人科や小児科、内科、外科、耳鼻咽喉科など各診療科の外来受付となっています。3階には健康相談所、健診センター、医療福祉相談室なども併設されました。

4階には手術棟と管理棟が入り、7階・8階には急性期のための一般病棟が、9階と10階には療養病棟が入っています。さらに地階には調理室と機械式駐車設備が、屋上には遊歩道や屋上庭園が設置されました。病床数は5階から10階まであわせて274床となっています。愛染橋病院が力を入れている周産期医療は、5階の新生児・小児病棟と6階の産科病棟で行われています。

NICU(新生児集中治療室)が18床、MFICU(母胎胎児集中治療室)を6床持ち、ハイリスクな出産・新生児をケアできる愛染橋病院のような医療機関は、関西エリアでも数えるほどしかありません。そのため、出生時の体重が1000グラムに満たない超低体重出生児をはじめ、治療の難しい母子を大阪府内のみならず、近隣の府県からも受け入れています。

キリスト者でもあった創立者・石井十次氏の、「隣人を愛せよ」「母と子を守れ」との理念を絶やさないためにも、あえて医療スタッフの確保や運営が難しい周産期医療や、医療相談にこだわる姿がここにあります。

70年以上もの長い間「お産」を支えてきた愛染橋病院では、祖母、母、娘の三代にわたってこの病院で出産したという患者さんも多いとか。「あの先生にはお世話になりました」「あのケースワーカーさんのお陰で立ち直ることができました」などの声が多数寄せられています。少子・高齢化社会を迎えた今、地域密着型の心の通う医療の大切さが改めて見直されています。

スピーディで低騒音
CSパーキングが威力を発揮

数多くの患者さんや見舞い客が出入りする総合病院に、駐車場は欠かせないものです。ところが、大阪の繁華街なんばにも近い市街地にあるため、これまで広いスペースを確保することができず、高速道路の下を有償で借り受けて、12台停めることができていただけでした。

新しい病院には、日精の平面往復方式駐車設備・CSパーキングを採用し、40台の駐車が可能になりました。これがリニューアル以来フル稼働を続け、わずか5ヶ月間で10,000台の利用を記録する盛況振りです。

日精が誇るCSパーキングの機動力が遺憾なく発揮されています。午前中は、外来に診察に訪れる患者さんの利用が多く、午後からは見舞い客が多く見受けられます。

街中にあるため、家族の住まいから病院施設が近く、駐車設備の拡充により、気軽に車でお見舞いに来ていただけるようになりました。総合病院という場所柄、CSパーキングのスピーディでありながら騒音を抑えた静かな入出庫が、駐車時に欠かせない機能であったといえるでしょう。

機種名
平面往復方式CSパーキング
延床面積
14,911m²
構造規模
地下1階、地上10階
収容台数
40台(ハイルーフ車20台、中型乗用車20台)

乗込階平面図(1階)

断面図

料金自動計算機と発券機が併設されている乗込口

1階乗込口スペースのレイアウト

ハイルーフ車など大型車が収容可能