東京の都心から20〜30キロ圏内という立地の浦和地区は、これまではベッドタウンとしての性格が強い街だったともいえるでしょう。ところが大宮地区の新都心建設、政府機関の移転、そして2002年のワールドカップ誘致を目指すサッカー場「アリーナ」の建設と、大型プロジェクトが相次いで始動しています。
とくに十省庁の政府機関移転により、約7,000人の要員が県外から引っ越してくるほか、1世紀前半には埼玉県の人口が現在の690万人から800万人に増加するという見通しもあります。そして、昨年の1月10日、このように大きな変貌と発展を遂げつつある、浦和駅西口の目抜き通りにオープンしたのが「浦和ワシントンホテル」です。
ワシントングループとしては8番目となるホテルですが、同グループの『経済的で満足度の高いホテル、地域社会にしっかり密着したホテル』との理念を最大限に具体化し、早くも地域の住民の皆様に親しまれるホテルとなっています。今回の計画地は駅から約3分、県庁からも約10分という好立地にありますが、間口が約3メートル、奥行き約100メートルという短冊形の細長い敷地で、西側が旧中山道、東側が浦和駅からのアプローチ道路に面しています。
そこで、この敷地の特性を生かすために、旧中山道と駅側の道路を結んだ通り抜け通路を設けるというユニークな構造をもっています。規模としては地下1階地上2階建てとなりますが、通路の中央部には、光を取り込む三層吹き抜けの光庭が配されたことで、通路にゆとりと広がりが与えられて、誰でもが気軽に通り抜けやすいような配慮がなされています。
また、光庭には滝があり、夜間はライトアップされ、床には光ファイバーを内部から外部に通して埋め込んだことで飲食街通路と光庭の一体感が演出され、「光」を媒体にして回遊性が誘発される、今風の「路地空間」で飲食街店舗とのイメージ的な融合がはかられています。この1、2階の飲食街は地域密着型の施設であり、周辺の活性化にも寄与する浦和の「食」の新名所となっています。
また2階には質の高い和食レストランとして「椿山荘」が、2階には利用しやすい北海道ビアレストラン「ジョージタウン」がオープンしました。そして、1、2階のほかの著名なレストランとともに「ワシントングルメスクェア」が誕生したことで、140室という比較的少ない客室数のホテルですが、その半面、料飲食施設が充実したホテルとしてユニークな一性格をもつ内容となりました。
外観は赤レンガ張りの落ち着いた雰囲気で、今、大きく変化する駅前の目抜き通りでもある旧中山道のグレード感を高める視覚的効果を実現しています。
浦和市民の皆様に愛されるホテルとして、宿泊者以外のお客様の集いや、セミナーなどの頻繁な開催が予想され、来場の方々の車でのアクセスを確保するためにも、パーキングの収容台数は十分に確保することが必要となります。
浦和ワシントンホテルの客室総数は140室ですが、地下1階の駐車場は平面駐車12台、そしてエレベータ方式(フォーク式)58台の合計70台という収容台数が確保されました。
そして、立体駐車場設備として採用されたのが日精のELパーキングです。乗階は地下1階にあり、地上3階までがビル内組込み、4階以上が独立鉄塔型の構造となっています。
ホテル内の駐車設備に求められる条件としては、お客様の入出庫時の運転操作が容易で、さらに待ち時間の少ないことが必要となります。日精のELパーキングはターンテーブルの内蔵により「頭から入れて頭から出せる」スムースな入出庫が可能なうえ、格納時の動きのムダを徹底して排除することで、大幅に待機時間を短縮しています。車の出入りの多いホテルの立体駐車設備としては、省スペースをも同時に確保できる理想的な設備となっています。
乗込階平面図(B1階)
フォーク式方向転換方式