福岡ダイエーホークスの日本シリーズ優勝に沸き立つ福岡市に、昨年11月に竣工したインテリジェント・オフィスビルが「博多駅前ビジネスセンター」です。
九州の玄関口となるJR博多駅から、わずか250メートル、徒歩3分という一等地に立地し、アジア各都市へのハブ空港となる福岡空港へも、市営地下鉄空港線の博多駅から5分という、最高のロケーションにあります。
福岡地所(株)、日本生命(相)、野村土地建物(株)、九州カード(株)の4社共同事業として、次世代型のインテリジェントオフィスビル建設が推進されたものです。建築家はポスト・モダニズムの旗手とも称され、8つの米国建築協会賞などの受賞歴をもつ著名な建築家、米国プリンストン大学教授のマイケル・グレイブス氏です。
同氏と福岡地所との共同プロジェクトには、これまでもネクサス百道、ハイアット・リージェンシー・福岡などがあり、福岡市の新しい街並みを共に演出してきた実績がありました。
「今回のデザインにあたり、マイケル・グレイブス氏が提示したのは『センティネル(番人)』でした。建物の外観は6つのタワーが独立した印象で、6人の番人が博多の駅前を護り、訪れる人を歓迎するという外観コンセプトです」(福岡地所株営業本部次長・松井啓治氏)
天然石を用いた斬新なファザードをもち、2層分の高さのピロティ、トップライトにより開放感のあるエントランスホールなど、博多駅前の新ランドマークとしての外観的な魅力も十分に兼ね備えています。
設備面では福岡市の新築物件としては初めて新個別空調システムが導入され、セントラル空調ながら、テナントごとにON/OFFができ、省エネルギーに貢献しています。インテリジェント対応もNTT、日本テレコム、QTnetの光ケーブルを導入済みで、将来のOA機器使用の増大にも余裕を持って対応できる電気容量が確保されています。
「デザイン面、設備面、周辺オフィス賃貸相場とのバランス、そしてロケーションの良さと、すべての要素が実現できました。リーズナブルな価格で良い商品がご提供できた結果、建物の6割を使用するJR九州の本社移転を始め、11月末時点の契約ベースでも98%のテナントリーシングの成約がありました」(松井氏)
今や、オフィスビルにとっても来館者の駐車場確保は大きな課題です。博多駅前ビジネスセンターでは地下式の機械駐車設備を2基導入することで、87台という大規模な収容台数を確保しています。
地下の機械駐車設備には、従来機種の入出庫スピードをアップした、平面往復方式の日精「CSパーキング」が採用され、1号機は大型乗用車に、2号機は普通乗用車に対応します。また、2号機は乗込口とは別にシフトした出庫口を設け、車の入出庫が重なっても、スムーズな導線が確保され、より回転率を向上させることができるようになりました。
「ビルに入居する各テナントに対応する、月極と時間貸しとの併用で地下駐車場の運用を行いますが、CSパーキングは車のパレットが特定されないのでレンタル比を向上させることができます。また、入出庫に要する時間が短いのもオフィスビルでは重要な要素です」(松井氏)
平面往復方式は地下空間を有効に活用し、収容台数を数多く確保できるほか、「準備運転」機能が入出庫時間を短縮させ、スムーズな車の流れを実現しました。
乗込階平面図
左から大型乗用車対応1号機、普通乗用車対応2号車
2号機の入出庫口
コンピュータ制御された操作盤は操作が簡単
2号機入出庫口のターンテーブル
1号機の駐車室内部