静岡市内で、最も商業・事業が集積する中心市街地に、地下2階、地上21階の再開発ビルが完成しました。
30年前、老朽化した木造建築物が密集していた街区に、再開発計画が浮上。以来、経済環境や社会情勢の変化などによる障害もありましたが、地域活性化を願う官民の粘り強い協力が結実しました。
ペガサートの低層部は、カフェやレストランなどの飲食店やレンタルビデオ店、資格試験の受験指導校などがテナントとして入居する、「メディア」「グルメバラエティー」「カルチャー」の3フロア。4階から7階の中層階は、静岡市立御幸町図書館と同市産学交流センターからなる公益施設となっています。両施設共通の愛称は“ビネスト”。産学交流センターの主目的は、起業家や中小企業の支援、新しいビジネスの創造などのインキュベートセンター機能にあります。2フロアを占める図書館には英語・中国語・ポルトガル語の図書を備え、多言語サービスを提供。
ビジネス情報も集積しており、開館に際しては、『図書館のビジネス支援サービスとは』と題しての講演や『地方都市における産業支援・創業支援のあり方』についてのパネルディスカッションが盛況のうちに開催されました。
8階以上は、JR静岡駅や静岡鉄道新静岡駅などの交通機関をはじめ、ビジネス拠点、教育機関へのアクセス抜群の分譲マンションです。健康やホスピタリティに留意した設計による都市型住宅が、総戸数93戸の「マークス・ザ・タワー静岡」です。ペガサートの屋上にはヘリコプターのホバリングスペースが設けられ、都市中心街ならではの機動性と安全性を整備。
その一方で、地下1階は江川町交差点地下道や新静岡センター地階に直結しているので、呉服町・追手町地区と交通ターミナルを結ぶ、安全で快適なアンダーグラウンドの歩行者空間が生まれました。
これによって、地上空地部分も、歩行者のためのゆったりとしたスペースを確保することができたのです。かつての同地区は、小規模商業施設が密集し、防災面からも問題を指摘されていました。見違えるような、多機能・複合型・官民同居の未来志向ビルの誕生までには、当初の再開発基本計画の策定から今日までの、30年間の困難な歩みがあったのです。
交通量の多い市の中心街に位置する複合施設では、使い勝手の良さとスピーディな人と車の往還が求められます。ペガサートに納入されたELパーキングは、日本最大級70メートルの高収容台数タイプ。ハイルーフ車26台、普通車38台の64台収容のパーキングが2基(合計128台)設置されています。
駐車時に待たされる時間をできる限り短くするため、運転工程の少ないフォーク方式を用いています。さらに、運転工程の一つひとつでは、高速で無駄のない動きを追求。これまでの機種と比べ、徹底してロスタイムを省いた使いやすい機械式駐車設備を実現させました。
また、多種多様な自動車のサイズに応えるため、軽自動車から大型ワンボックスカーまでの駐車を可能にした、バランスの良い駐車室を設置いたしました。もちろん、毎日の入出庫時における安全性、騒音、振動にも配慮した設計を実現。部品を従来機種のものと共通化することで低コスト化が図られています。日精が誇る先進のメカニズムが、エレベータパーキングの新しい時代を開きました。
乗込階平面図
断面図
業務用車庫入り口(閉口時)
上層階の住宅居住者のための入出庫口