国際都市・東京の政治・経済・文化の動きに、世界がリンクする現代にあって、マスコミュニケーションの働きはますます重要性を増しています。
平成15年7月、東京銀座5丁目に、日本を代表する通信社・時事通信社の新社屋が完成しました。
地下鉄日比谷線東銀座駅から新橋演舞場に向かう銀中通りと、みゆき通りが交差する一角は、銀座東急ホテルの跡地。敷地面積は3,158平方メートル、建物の規模はS1部CFT(鉄筋コンクリート)造り地下2階、地上14階建てで、床面積は延べ28,200平方メートルとなります。
一見して大理石のように見える外壁は、不思議な透明感を持っており、周囲の緑と調和した仕上がりです。これは、ガラスと打ち放しプレキャストコンクリート板を使用することによって新しく工夫されたものです。
建築施工にあたっての大きな特徴としては、敷地に残されていた旧銀座東急ホテルの地下駆体の一部のなかに、新しいビルを建て込む工事があげられます。耐圧盤を基礎の一部に利用し、三方の外周部を山留めにするために残しました。この工法によって、解体量を地下駆体の34%に抑えることに成功。再生コンクリートや解体ガラの使用などと合わせて、環境に配慮したリサイクル工事として注目を集めました。
ニュース発生の瞬間を肌で感じるために、編集フロアは開放的にデザインされており、人の動線となるエレベーターホールや化粧室などのスペースはガラス張りに。すみずみまで明るいオフィスが実現しました。
広い四角形のオフィスを支えるため、ケージ構造形式を採用し、室内の柱は4本のみ。通信社の編集局らしい、フレキシブルな広い空間が出来上がりました。
銀座の賑わいがデスクまで届く、光と風の吹き抜ける快適なオフィスは、国内外に張り巡らされた取材網の基地として、伝統ある「迅速・正確・簡潔」な報道の新たな現場となることでしょう。
東京とニューヨーク、ロンドンに編集センターを持ち、24時間情報を発信する通信社では、人と車の出入りが途絶えることがありません。時間を争う取材活動をサポートするために、駐車設備もまた、使いやすく円滑な入出庫が求められます。
平面往復方式の「CSパーキング」は、独自技術の準備運転機構により、入出庫時間の大幅な短縮を実現し、高機能な本社ビルのフットワークをスピードアップ。
また、旧ホテルの既存の地下駆体と三方の外周部を残すという、駐車設備設計上の制約があった今回のケースでは、サイドリフト方式を採用。このことで、車の乗り込み口をフレキシブルにレイアウトすることが可能となり、設計の自由度が広がりました。
最新の建築技術の粋を集めたインテリジェントビルだからこそ、パーキングシステムもまた、高い信頼性と実績のある日精のテクノロジーがその役割を担うことになりました。
乗込階平面図(B1階)
乗込口の閉口時
乗込口の開口時
CSパーキングの内部構造