首都圏有数のビッグターミナルである渋谷駅周辺では、少子化に伴う小学校の統廃合で生じた学校跡地の有効活用が長年の課題となっていました。
2010年11月に完成した文化総合センター大和田は、そのひとつである旧大和田小学校跡地に渋谷区が開設した複合区民施設です。
JR渋谷駅から徒歩5分という至近距離にある敷地は、駅の西口南側から国道246号を渡って桜並木を上がった桜丘地区に位置。同エリアの一部は都市再生緊急整備地区に指定されており、商業施設の拡充とともに、区民の交流拠点の整備も求められていました。
文化総合センター大和田は、今後よりいっそう都心部としての性格が強くなっていくであろう桜丘地区における、新しい文化・教育・健康・福祉の一大拠点として建設されました。
地下3階・地上12階建て。隣接する渋谷インフォスタワーやセルリアンタワーほど高層ではないものの、最上階にある「コスモプラネタリウム渋谷」の球体が、強い存在感を放ちます。
渋谷区が1996年3月に制定した「創意あふれる生活文化都市」という街づくりの基本構想を踏まえ、9年ぶりに渋谷に復活したプラネタリウムをはじめ、オーケストラや室内楽の演奏も行える定員735人の中規模ホール「さくらホール」や、花道や桟敷席のある「伝承ホール」、区立小中学校の理数教育支援を行う「こども科学センター・ハチラボ」など、文化芸術の振興に寄与する多種多様な施設が有機的に複合化されています。
また、渋谷区の地場産業ともいえるファッション・デザイン産業の活性化を図るため、「ファッション・デザイン産業関連支援施設」も設置。SOHOを用意するほか、ショーや発表会にも場所を提供するなど、若い才能の育成にも積極的に取り組んでいます。
設計にあたっては、不特定多数の利用者が見込まれるため安全・安心を最優先に考えた空間づくりを実施。全館が免震構造となっているため、非常時には周辺区民の一時避難場所としても活用されます。
さらに近接環境の対策として、建物の足元を回遊導線として開放。敷地南北の高低差を利用して二つのプラザを大きな吹き抜けでつないだアートガーデンは、駅からのアクセスルートとして使われる以外に、イベントなどの催し物にも利用されています。
若者文化の中心地である活気あふれる街・渋谷に、子どもから高齢者まで楽しめる多機能な区民施設が誕生しました。
プラネタリウム人気も手伝って、週末には渋谷区以外からも多くの人々が訪れる文化総合センター大和田。そんな同施設からパーキング設備として選ばれたのが、日精の平面往復方式「CSパーキング」です。地下式駐車システムにおける豊富な実績に加え、免震ビルに対応する高い技術力が、採用された大きな理由でした。
今回納入した4段・2列・9ブロックのCSパーキングは、収納台数が72台と高収容。エレベーターリフトには免震ビル対応のリフトを採用しており、入出庫時間の短さとともに高い安全性も兼ね備えています。
渋谷区の新しい文化交流の場に、日精の最先端テクノロジーが生かされています。
乗込階平面図
乗込口レイアウト(オートドア閉口時)
ターンテーブル内蔵の入出庫口スペース