1951年の改修から62年となる、全面的な建て替え工事が行われた歌舞伎座。今回、新たに誕生する第五期歌舞伎座は、施設の総称を「GINZAKABUKIZA」といい、第四期の歌舞伎座の意匠を継承した劇場「歌舞伎座」と、高層オフィス「歌舞伎座タワー」を併設した複合ビルになります。
“時間の継承”をコンセプトに日本建築の美を追求した設計・デザインは、三菱地所設計と隈研吾建築都市設計事務所が共同で担当。劇場棟は歴代の歌舞伎座が担ってきた祝祭空間としての雰囲気、そして瓦屋根や唐破風など多くの人に愛されてきた第四期歌舞伎座の意匠が踏襲されています。
劇場の背後に建つ高層オフィスは、銀座の街並みと調和しつつ歌舞伎座を引き立てる背景となるよう、日本建築の捻子連子(ねりこれんじ)格子をモチーフとして採用。シンプルさのなかに柔らかな陰影を感じさせる端正なファサードが特徴です。また、7階から29階までの賃貸オフィス部分では、銀座地区最大のフロアプレートとなる、有効面積約1700平方メートル、天井高2.8m、奥行き約20メートル、幅約75メートルの無柱空間を実現しました。
さらに、劇場と高層オフィスビルの中間には、歌舞伎座ギャラリーと日本庭園を設置。今後、オフィスワーカーにとってはリフレッシュスペースとして、地域の人々や東京を訪れる観光客にとっては憩いの場所として機能することでしょう。
「歌舞伎座は変わらない」というコンセプトを基本とする一方で、今回のリニューアルでは、設備や利便性が大幅に改善されました。各施設や地下と地上を結ぶ動線のバリアフリー化、トイレの増設などすべての人により快適な空間づくりを実施。
防災面では建物構造の耐震性能を高め、災害時には帰宅困難者の一時避難スペースとして利用できるなど機能も追加されています。
長きにわたり刻まれてきた歌舞伎の殿堂としての歴史と最先端のオフィス空間が融合した新生・歌舞伎座は、銀座のランドマークとして、さらには伝統的な日本文化の発信拠点として、東京の新しい顔となっていくことでしょう。
今回の歌舞伎座建て替え計画では、空間を最大限に有効活用でき、しかも求められた収容台数を確保できる駐車設備が求められました。その条件を唯一クリアするパーキングシステムとして採用されたのが、多層式の中で最も空間効率に優れた日精の多層循環箱型方式「SPパーク」です。
あらかじめ限られた敷地に4層のSPパークを2基導入することで、合計44台の収容を実現しました。
日本が世界に誇る劇場「歌舞伎座」。日々多くの来場者を迎え入れるその入り口のひとつに、実績に裏打ちされた日精ならではの先進技術が活かされています。
乗込階平面図(1階)
乗込階平面図(B3階)
断面図
入出庫口の閉口時(1号機)
入出庫口の開口時(1号機)
入出庫口の閉口時(2号機)
入出庫口の開口時(2号機)
併設された2基のSPパーク(左側1号機・右側2号機)
庫内スペース(2号機)